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ただそこにいるだけ、というボランティア

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去年、以前から興味のあったホスピス・ボランティアになった。ホスピスという特別な場所柄、ボランティアになるためには、何日間かに渡る講義を受け、個人面接を受けて、そしてドクターとボランティア・コーディネーターが「よし」と言う必要がある。無事最初の関門を超え、心理学のワークショップにも出たりしたけれど、去年は一度も実際の活動をしなかった。そのことがいつも心に引っかかっていた。そして今年の抱負は、少なくとも月に一度は参加すること。そんな自分勝手な私を、ボランティア・コーディネーターや他のボランティアさんは、温かく迎え入れてくれた。


今日が二回目の活動日。ホスピス病棟には、開放感溢れるラウンジがあって、そこで患者さんや見舞いのご家族の方に喫茶サービスを提供するのが、ボランティアの主な仕事。他には、あちこちにあるお花のお手入れ、お掃除、イベントの準備や実施などなど。数十人いるボランティアさんたちは、長く続けている人が多い。楽しく、そしてやりがいのある活動だからだろう。


お花の水替えをしていると、先輩が言った。「この葉っぱ、枯れかけているから抜いちゃいましょう!」確かに少し茶色くはなっていたけれど、私からすればまだ生けていてもよさそうなほどの葉っぱ。そう心で思っていたら、先輩はその葉っぱをひょいと抜いて、こう言った。「患者さんは、ほんのささいなことでも気持ちが左右されやすいから。」
そうか、死ぬと分かっていて、それを受け入れていても、やっぱり怖いんだ。見た目がキレイな花だけを見ていたいのかもしれない。そんな、当然のようなことに気づかされた。そこまで気の利く先輩を、尊敬した。


活動を始める前は、「患者さんを元気にしたい」と気負っていたのかもしれない。でもボランティアとして本当に必要なことは、プラスを与えることではなくて、マイナスを少なくしてあげることなのかもしれない。体の痛みを和らげるのはドクターと看護士の仕事。ならば、心の痛みを和らげることだったらできるかもしれない。それは、必ずしも直接的なことばかりではない。間接的なことの方が多いと思う。緑の葉っぱだけを残したり、台所を掃除したり、そしてラウンジでコーヒーを用意して待っていること。ただそこにいるだけ。そんなことで、ほんの少し、マイナスを少なくすることができるのかもしれない。


次の活動日が待ちきれない。
by serendip_love | 2009-02-07 19:18 | 村上センス
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秋田から福井に引っ越しました。気持ち新たに、妻・母・女性、そしてビジネス翻訳家として「私らしく」成長していきたいな。


by serendip_love
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